1. 映画『マルジェラが語る“マルジェラ”』 の感想をお聞かせください。

人間マルタンによる素朴で屈託のない姿勢に大変感銘を受けました。当時のミステリアスで知性的な印象も、彼が語ると何故か純粋な思いの連続の結果が積み重なった結果のように感じられ、子供の頃からの夢を純粋に向き合った素朴な青年像、人間像が浮かび上がり新鮮でした。

2. マルタン・マルジェラの服を目にした最初の瞬間はいつ、どこでしたでしょうか? その時の感想をお聞かせください。

高校時代、大阪のユナイテッドアローズで拝見したように思います。その頃は取り扱っているお店も少なく、まだメンズのコレクションは発表されていませんでしたが、少ないセレクションの中でなにか自分でも着用できるものがないかじっと考えを巡らせましたが、当時の自分には難易度が高く結局買うには至りませんでした。

3. 最も印象的なマルタン・マルジェラのショーやアイテム、表現方法などについて、思い出やご意見などをお聞かせください。

コレクションそれぞれが本当に素晴らしいので、あえて紹介させてもらうなら、Maison Martin Margiela S/S 1994 “Retrospective collection”でしょうか。新しいものを発表しないというのはパリコレクションの歴史上初めてのことだと思いますし、90年代において最も重要なコレクションの一つであると同時に、現在そして未来への大きな布石だと思います。

4. ファッション史を振り返って考えてみた時、ファッションデザイナー マルタン・マルジェラ はファッション界にどのような影響を与えたと思われますか?

すでに語り尽くされているとは思いますが、シンプルに言うならば、マルタン以降のファッションデザインの骨格を作りあげたと言っても過言ではないと思います。

5. マルタン・マルジェラが作る服そのものは、他のデザイナーが作る服とどのように異なり、どんな所に凄さがあったとお考えですか?

知性があり前衛的で反体制的な匂いがありつつもかっこよく、懐かしさとユーモアがあり、にもかかわらず普通である、という絶妙なバランスを持つ衣服を作れるデザイナーは他に類を見ません。

6. 初めて購入したマルタン・マルジェラのアイテムはどのようなものでしたでしょうか? その時のエピソードをお聞かせください。

18歳の頃、大阪の古着を置いているお店でレディースのラグランスリーブがえぐられたようなスリーブレスのニットベストを購入しました。少し特徴的なバランスに最初は少し戸惑いつつも勇気を持って着用していくと、やがて自分のものになっていきました。

7. 今もまだ着用・愛用・所有しているアイテムがありましたら、詳しくお聞かせください。

20年くらい前に購入した『STREET』から出版されたマルジェラの書籍は、学生時代何度となく目を通しました。パリに住んでいた頃、窓際にその本を置いていると雨漏りがありびしょ濡れになりぼろぼろになってしまいましたが、現在も健在です。

8. 現在、アーティストとしての活動をしていると言われているマルタン・マルジェラですが、いつかファッション界に復帰して欲しいと思われますか? 今後の彼にどのような活動を期待しますか? その理由と共にお聞かせください。

ただ一つの願いは、これからもマルタンが望むような人生を送ってほしいということだけです。

9. マルタン・マルジェラ本人に、メッセージをお願い致します。

For me, it was the most sophisticated and coolest of all expressions that I came to know in my teenage years, and it made me dream of pure fashion. I would like to thank you from the bottom of my heart.