TALKING ABOUT ARCHIVES Vol.07
シトウレイ氏のずっと大切にしたいアーカイブ(後編)
東京のみならず、世界を股にかけ、オフランウェイを撮影し続けるフォトグラファー、そしてジャーナリストのシトウ レイさん。ファッションアイコンとしても支持される彼女は、最新コレクションだけでなく、アーカイブを自分らしくフレッシュに着こなすのも得意。そこで、自身のクローゼットで長年サバイブしてきた精鋭を披露しながら、時代を超えて愛される名品の魅力を紐解いてくれた。「海外スナップを始めたばかりの頃」だという、特に思い入れが深い2000年代初頭を振り返り、過去と現在を繋ぐインタビュー。後編では、男性にも人気の高いUNDERCOVERのレア品を公開。
---ストリートスナップを撮影されているシトウさんは、現場の生の声をいち早くキャッチしていることと思います。
「そうですね。最近は2000年代のUNDERCOVERを探しているという声をよく聞きます。90年代が浸透して、00年代初頭のムードに移行したのも影響しているのかもしれないですね。当時はピタピタのTシャツと台形スカートで、脱ビッグシルエットですよね。これからは、シンプルなテイストが流行るんじゃないかな。そこで、今日その頃の私物を持ってきました」
---当時のUNDERCOVERについておしえてください。
「まだパリコレクションを発表する前だったので、今よりストリート感が色濃かったと思います。ウィメンズは、メンズの延長線のような感じで、デニムやスウェットとかの普遍的なアイテムを女性らしくアレンジしていものが多かったですね」
---その時代ならではのデザインなどはあったりするのでしょうか?
「パッチワークのディテールが多かった。持ってきたデニムはよく見ると膝の部分の生地が切り替えになっていて、そこにダメージを加えているんです。シルエットは裾にかけてややフレアで、ローライズタイプ。当時は古着とミックスして着ていました。最近は、デニム自体があまり気分でなかったので寝かせていましたが、春夏ならタンクトップと合わせたいですね。ニットはタイトなシルエットがこの時代の空気感を思い出します。UNDERCOVERは、タグにシーズンテーマがプリントされているんですけど、このジップアップのスウェットには文字がくっきり残っていますね」
---ジップアップスウェットについてもおしえてください。
「カラーリングはメンズっぽいけど、肩にギャザーを寄せているので袖がふんわりとしたフォルムで着ると女性らしいんですよ。バックシルエットのビジューで象られた“HAZE”の文字は、このシーズンのテーマ“THE ILLUSION OF HAZE”からですね」
---どれも本当に状態が良いですね。
「物持ちがいいタイプなの。洋服を買うとき、ペットを迎え入れるくらいの気持ちでいますね(笑)。ちゃんと大事に全うできるかどうか判断して、着こなしもいろいろ考えて買うか買わないか決めてます。若い頃はもっともっと躊躇していたので、昔買ったものほど本当に大切なんです」
---コーディネイトに変化はありますか?
「日々自分越えをしていきたいから、コーディネイトも同じものをしたら負けと思っていますね。洋服でチャレンジしていたい!仕事でトライして失敗したら、周りに迷惑かけるかもしれないけど、ファッションはそれがないでしょ。毎日着るものだから、結果がわかりやすいし。昨日の友達の洋服覚えてないじゃん?だから、ちょっとくらい失敗したって大丈夫。明日になったらみんな忘れてると思うし(笑)。海外にいくと、周りを気にしなくなりますよね。そもそも何で気にしてるんだっけ?って、理由が見つからないくらい」
---女性なら年齢で制限をかけてしまうアイテムもありますよね。たとえば、当時欲しかったアーカイブのミニスカートを偶然見つけたけど、体型の変化で諦めてしまうとか。
「姉もファッション業界で働いているんですけど、年齢を気にしてミニスカートを履くときにレギンスやタイツが必要と言っていました。けど、わたしからしたら縛りとかを決めちゃうのはもったいないです。欲しいものは似合うもの。10年前とは体型が違うとか思わずに手にとってみて。大人には、欲しいものを似合わせるパワーがあると信じています。昔に比べて着こなせるものが増えましたね。なぜなら酸いも甘いも色々経験つんだから!(笑)」
シトウ レイ
日本を代表するストリートスタイルフォトグラファー。世界各地で撮影したスナップを、自身が主宰するブログ『STYLE from TOKYO』で紹介している。
Interview &Text_ AYANA TAKEUCHI