ARTIST INTERVIEW Vol.02

Interview with Mika Ninagawa & Enon Kawatani

Enon Kawatani Photo by Mika Ninagawa

Martin Margiela、Yohji Yamamoto。2つの全く異なる世界観のアーカイブ作品を身に纏った川谷絵音。それを切り撮る写真家・映画監督の蜷川実花。
今回『OR NOT』内で、新しくリリースされたキュレーション機能に参加する2人によるスペシャルな撮影、インタビューが実現した。

--- 本日は撮影お疲れ様でした。まず蜷川さんへ質問です。川谷絵音さんをモデルとして、撮影を終えていかがでしたか?

蜷川 「絵音くんのことは、今までも何度か撮影させてもらっているんですが、いつでもフォトジェニックです!」

Enon Kawatani Photo by Mika Ninagawa
SHIRT : Maison Margiela 1993SS (archive store)
VEST : Maison Margiela 2007SS (archive store)

--- 川谷さん、今回Martin MargielaやYohji Yamamotoのアートピースともいえるアーカイブでの撮影となりましたが、いかがでしたでしょうか。

川谷「いや、なんか、楽しかったです。やっぱアーカイブって着るとテンション上がりますね。マルジェラの映画観た後だったから特に。」

--- 『We Margiela マルジェラと私たち』ですね?

川谷「そうです、マルジェラが作ってた時期のマルジェラを着ると気分があがりますね。ヨウジも最近あんまり着てなかったので、久々に着たらなんか、ああいう緩めのパンツもいいなって。しっかりしてない感じの。」

--- 今回色々着てみて、気に入ったアイテムはありましたか?

川谷「やっぱりヨウジのパンツですね。緩めのパンツ全部もう断捨離しちゃってたので。ああゆう膨らんでる感じのパンツ、僕もう持ってないから今。久々に履いたらいいなって。」

Enon Kawatani Photo by Mika Ninagawa
JACKET : Yohji Yamamoto POUR HOMME (archive store)

--- とてもお似合いでした。では続いてOR NOTのサイトでは、過去に発売された商品を購入することができます。普段から過去に発売されたものを購入したりしますか?洋服以外でも構いません。楽器、レコード、写真集など。

蜷川「私は写真集がそうですね。絶版になってしまったものを探して購入しています。」

川谷「レコードは割とコレクターですね。レアなやつとか集めてます。」

--- 結構昔のレコードとかですか?

川谷「はい。でも、洋楽も多いんですが、最近は山下達郎さんを集めるのと、ユーミンさんを集めるので忙しいです。なんかいろいろあるんですよ、レコードしか出てないやつとか、そういうの集めたり。地方のレコードショップがあって、そこのおじさんが結構いい趣味してるからそこから通販で買ったりとか。海外のやつも結構取り寄せたり、輸入で買ったりしてます。」

--- 楽器とかも昔のビンテージのもの買ったりするんですか?

川谷「持ってますね。それに関してもコレクターですかね。アンプとかジェフ・ベックが実際使っていた世界に2台しかないやつも持ってますし。」

--- 今でも昔の機材を探してたりするんですか?

川谷「でもなんか機材は一周しちゃって、大体持ってるからもう、最近は全然買ってないです。」

Enon Kawatani Photo by Mika Ninagawa

--- 続いて、ご自身が持っているもので頻繁に着ている洋服はありますか?

蜷川「亡くなった父(蜷川幸雄氏)が着ていたY’sやコムデギャルソン、Y-3の服ですね。今では私だけではなく、私とほぼサイズが一緒になった息子も着ています。」

川谷「僕はMARNIのパンツです。毎シーズン出ている、リラックスパンツみたいな、スラックスみたいなやつです。ウエスト紐で縛るやつ。それはもう、形を変えて毎シーズン買ってますね。同じなんですけど。皺加工されてるやつとか、普通のやつとか、色違いも結構でるから。でも黒いやつはもうずっと履いてますね。日常的に。毎シーズンでるやつだから、それだけはもう。結構シンプルになってくるじゃないですか。自分が好きな合うやつばっかり買うようになるから。あんまり冒険しなくなってきてますね。」

--- 洋服に限らず、写真、音楽、アートなど未来へ受け継がれていくものっていうのは、どういうものだとお考えですか?また、ご自身の作品を制作する上で、そういった観点で意識していることはありますか?

蜷川「時代に寄り添いすぎない、媚を売りすぎないようにしています。私は作品をつくるうえで、まず最初に「誰かを救いたい」というような大義はないんです。まず自分がいいと真剣に思ったものをつくることがものすごく重要で。いい作品をつくることで、結果として観てくれた人の気持ちを少しでも前向きにすることができたらいいなと思いながらやっています。自分がいいと思うこと・ものを信じきれるだけの努力は日頃から怠らないようにしていますね。」

Enon Kawatani Photo by Mika Ninagawa

川谷「マルジェラの映画を見て思ったんですが、その時に最先端すぎて、誰もついて来れなかったみたいなやつ。ファーストのショーとかもかなり批判が入り混じってたみたいな感じだったけど、結局そうゆう先の目というか、先を見ているわけでは多分ないんだけど、その時自分がいいと思ったことを、周りに流されずにやっている人。周りの空気感を敏感に感じ取る才能もあるけど、なんかそうじゃない、その時代にはまってくるものも後々いっぱい出てくるけど、その人たちはあんまり残んないじゃないですか。なんかあったなー、みたいな。だからやっぱり第一人者になることみたいな。その自分しかできないことをやるっていうのが残っていく人だと思います。」

--- ご自身が楽曲を制作する上でも、そういったことを意識してますか?

川谷「はい、でも僕はもう先人たちへのリスペクトで作っているから、どの時代をお手本にするかになるじゃないですか。だからあんまり現代、今流行っているものとか、今をあんまり見てないっていうか。20年、30年くらい前のものとか、60年くらい前のやつに新しい発見がある、そういうことは常に考えてます。」

--- では最後の質問です。OR NOTのサイト内でクリエイターの皆さんが選んでいただいた洋服のCURATOR'S COLLECTIONが公開になりました。オススメのアイテム、普段気に入っているもの、過去衣装で着たもの、以前欲しかったもの等、それぞれプレイリストの作り方は違うんですが、今回選んでもらった洋服について、いくつかエピソードを教えてください。まず蜷川さんからお伺いします。こちらはMIUMIUですね。

蜷川「大胆に背中や胸が開いているデザインが好きなんです。このMIUMIUはシックな色使いなので、甘くなりすぎないバランスもちょうどいいなと」

miumiuワンピース
Dress / miumiu

--- 続いて選んで頂いたのは、GUCCIのワンピースですね。

蜷川「GUCCIは、毎シーズン気分にぴったりのルックで楽しませてもらっているブランドですね。華やかさもかっこよさも纏えて、いろんなシーンで活躍してくれそうです。」

GUCCIワンピース
Dress / GUCCI

--- 続いて川谷さんにお伺いします。まず、最初はマルジェラのシャツですね。

川谷「このシャツはindigo la EndのLIVEの衣装で着たやつですね。なんか、派手だけど派手じゃないっていうか、結構模様あるんですが、さっくり着られるから、ホントだれでも似合うっていう。でもマルジェラにしか出来ない感じのデザインで気に入ってます。」

マルジェラシャツ
Shirt / Maison Margiela

--- 続いて選んで頂いたのは、MARNIの青と黒のボーダーのニットですね。MARNIはよく買われるんですか?

川谷「これは3、4年前にMARNIで買ったやつですね。MARNIのニット好きで、個人でもいっぱい持ってます。ニットとパンツは毎シーズン買ってますね。」

MARNIニット
Sweater / MARNI

--- 最後に選ばれたのは、BALENCIAGAの短めのスラックスですね。

川谷「これは、個人的に唯一持ってる短パンと同じものですね。僕あんまり短パンのイメージないんですが、素材もいいし、スラックスを切った感じで、丈もそんなに短くないので、おしゃれに着れるかなと思って購入しました。」

BALENCIAGAショートパンツ
Short Pants / BALENCIAGA

蜷川実花 / Mika Ninagawa

写真家、映画監督。
木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。映画『さくらん』(2007)、『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner!ダイナー』『人間失格 太宰治と3人の女たち』(ともに2019)監督。Netflixオリジナルドラマ『FOLLOWERS』が世界190ヶ国で配信中。映像作品も多く手がける。2008年、「蜷川実花展-地上の花、天上の色-」が全国の美術館を巡回。台北、上海などアジアを中心に大規模な個展を開催し、動員記録を大きく更新するなど人気を博し、世界的に注目を集めている。2018年、熊本市現代美術館を皮切りに、個展「蜷川実花展-虚構と現実の間に-」が2021年まで全国の美術館を巡回中。2020年、最新写真集『東京 TOKYO』発表。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事。
https://mikaninagawa.com/

川谷絵音 / Enon Kawatani

ミュージシャン・作詞家・作曲家。
indigo la End、ゲスの極み乙女。のボーカル&ギターのほか、ソロプロジェクトの美的計画、ジェニーハイ、ichikoroのギター、DADARAYのプロデュース、様々なアーティストへの楽曲提供、ドラマ劇中音楽など多岐にわたって活躍中。

indigo la End 最新シングル「夜漁り」配信中
https://indigolaend.lnk.to/yoasariPu

ゲスの極み乙女。英語詞プロジェクト
Lowest Lowest Girl
Lyric Video公開中
https://www.youtube.com/playlist?list=PLlFxbPpuzqRJBx6Bq8wVxiL6RtFL1m4ql

Photo_ MIKA NINAGAWA
Styling_ KEISUKE MATSUOKA
Hair & Make-up_ TAKAI
Edit&Text_KEISUKE MATSUOKA