INTERVIEW WITH BYRONESQUE

あらゆるヴィンテージを網羅するBYRONESQUEとは?

ヴィンテージクローズを扱う膨大な数のショッピングプラットフォームの中でも、Byronesqueは、Helmut LangやJean Paul Gaultierなどの「コンテンポラリー・ヴィンテージ」から、Demna GvasaliaやDaniel Leeといった「フューチャー・ヴィンテージ」までを網羅した、他に類を見ないモダンなキュレーションで際立っています。それを可能にしたのが、Byronesqueの創始者であり編集長でもあるGill Lintonの個人的なセンスとファッション業界における豊富な経験です。2013年にオープンしたByronesqueは、ヴィンテージクローズを探す目の肥えた顧客と、世界各国の最高のヴィンテージショップをつなぐブローカーとしての役割を果たすようになりました。また、Lintonとクリエイティヴ・ディレクターのJustin Westoverの依頼で執筆された、セカンドハンドの世界にユニークな視点をもたらす鋭いエディトリアル記事も数多く掲載されています。OR NOTはLintonにインタビューを行い、Byronesqueの起源、ファッションの最後の黄金時代、そしてByronesque史上最も特別なキュレーションについても語ってもらいました。

BYRONESQUE

ファッション、特にアーカイヴファッションの世界に入ったきっかけについて教えてください。

私がまだティーンエイジャーだった80年代に、ニューロマンティックスのシーンを目撃して、音楽をコピーするという経験をできたのはラッキーでした。まだThe Blitzに入れる年齢ではありませんでしたが、BananaramaとThe Human Leagueの女の子の間のような格好をして、なんとか中に入れてもらえるように頑張りました。私が育ったのは、創造性に富んだ自由な時代で、みんなもっとインディペンデントで、ファッションに迎合するのではなく、ファッションで遊ぶような時代でした。長年にわたり、私は多くのファッションブランドと仕事をしてきました。デザインやブランドの面で、どうすれば他と違うものになるかを考えてきましたが、すべてが同じであることに飽きてしまい、過去にしかインスピレーションを得られなくなってしまいました。Byronesqueは、80年代とニューロマンティックスの精神に基づいて、特定のアーカイヴの服を、今日のファッションのあり方にふさわしい、エキサイティングで身近なものにしたいという思いでスタートしました。私たちは「古いからといって良いものとは限らない」という冷徹な信念を持っています。私はヴィンテージショップが嫌いでした。「見つける喜び」というものが、私には理解できず、もっと簡単であるべきだと思ったんです。

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最初に惹かれたデザイナーのアイテムは何でしたか?

まだロンドンにいた頃は、BrownsやThe Pineal Eyeなどで買い物をしていましたが、買った洋服のブランドはほとんど知りませんでした。それが重要だったんです。私が初めて持ったユニフォーム的なファッションアイテムは、Stella McCartneyのChloéでした。ロンドンのクールなロック少女のようなファッションにどっぷりハマりましたね。あれはファッションの歴史の中でとても特殊な瞬間で、特に私がニューヨークに引っ越した頃は、(そういうファッションは)良い意味で比較的まだ知られていませんでした。

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あなたにとってファッションがエキサイティングだったのは、やはり80年代と90年代だと思いますか? これらの年代のどんなところが心に響いたのでしょうか? また今のファッションには何が欠けていると感じますか?

はい、その通りです。2000年代初頭になるとスーツが主導権を握り、ファッションはどんどんデータ化されていきました。とてもシンプルなことです。商業がクリエイティヴやサブカルチャーを支配したんです。今のファッションに何が欠けているかというと、「ないこと」が欠けているのだと思います。もう探すべきものがほとんど残っていないんです。すべてが簡単で、全部お皿の上に盛られていて、それをスプーンで食べさせてもらうという……、私たちはいわば「ファッションゾンビ」になってしまったんです。努力すること……、「ないから、努力する」ということがなくなってしまいました。

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Byronesqueを始めた経緯を教えてください。当時のヴィンテージファッションのシーンについて(シーンはそれ以降、大きく変化してきましたが)、どのように感じていましたか? また、特に取り組みたいことというのはあったのでしょうか?

本当に良いものはなかなか手に入りませんでした。当時は、70年代のボーホースタイルのマキシドレスやChanelのチェーンバッグが欲しければ、簡単に見つけることができました。予算があれば、ヴィンテージ・クチュールも簡単に手に入りました。けれど、昔も今もデザインを続けているデザイナーや、今はデザインをしていないデザイナーによる、本当にモダンで、非凡で、クリエイティヴなものは、簡単には手に入りませんでした。Vivienne Westwoodのパンクや90年代のComme des Garçonsが欲しかったのですが、ガラクタやクチュールの中から探すのは大変でしたね。

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Byronesqueのヴィンテージ・キュレーションをご自身の言葉で表現すると、どのようになりますか?

以下の4点が重要です。
1. 古いからといって、良いものとは限らない。
2. Timeless(時代を超えた鉄板)とClassic(クラシック)は死を意味する。Relevance(現代にも通用すること)とReverence(崇拝)の方が、はるかに重要。
3. ヴィンテージブランドやルックが「トレンド」になったら、次に進む時。
4. 長く着ることができるか? 私たちはリセール(再販)のサイクルを止め、最終的にはリサイクルもやめなければなりません。実際には地球や文化を救うことにはならないからです。

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Byronesqueのネットワークはどのように構築していったのでしょうか? とてもグローバルですよね。

私たちは、みんなが参加したいと思うような、よりモダンで挑発的で、誇りに思えるようなブランドを創りました。今、Byronesqueは非常にグローバルです。それはつまり、膨大で壮大な服のコレクションにアクセスできるということです。また、どのようなアイテムが感情的・経済的な価値を持つのかについて、そして(各アイテムの)市場価値について、私たちは最もグローバルで正確な見解と理解を持っているということでもあります。私たちは自分たちの信念を頑なに守り続けてきました。それは決して簡単なことではありませんでしたが、今では個人のコレクターの方々が私たちのところに来てくださるようになりました。そのため、本来なら買えないようなアイテムにも私たちはアクセスできるようになりましたね。

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あなたの個人的なヴィンテージ・コレクションについて教えてください。ご自身でもかなりの量を集めているのですか?

特に持っていません。私はセンチメンタルではない、ミニマリストです。物を買ったら長く使うようにしています。

最初に所有した特別なコレクター的なヴィンテージアイテムを教えてください。

一番思い入れがあるのは、Michèle Lamyが個人的なアーカイヴから私にくれたComme des Garçonsのワンピースです。これはランウェイのアイテムで、良い意味で着るのは不可能です。

Byronesqueのためにキュレートしたアイテムの中で、最も特別なものを三つ教えてください。

これらのアイテムのように、ランウェイの完全なルックが未着用の状態であるといるのは、通常、とても特別なことです。

BYRONESQUE
BALENCIAGA BY NICOLAS GHESQUIÈRE Full Look, 2002
BYRONESQUE
YVES SAINT LAURENT Jumpsuit, F/W 2009
BYRONESQUE
MIGUEL ADROVER Top, 2000.

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