ARCHIVE STYLING Vol.31
スタイリスト山口翔太郎氏による アーカイブファッションの新解釈
2007A/WシーズンのPRADAのコレクションを覚えているだろうか? 著名なファッションジャーナリストであるティム・ブランクスの言葉を借りるなら、ミウッチャ・プラダはこのコレクションにおいて“文明社会の虚像の元にある闇”を表現していた。ミニマムなテイラードを身にまとった人形のようなモデルたちは、アンドロギュヌスな印象を与え、どこかジョージ・オーウェルの『1984』のようなディストピアな世界を彷彿させる。「ミニマリズム」「トランスジェンダー」「ディストピア」……まさに今のモード界の潮流であるキーワードが詰め込まれたコレクションだった。このアンゴラのトップスは、そのキーワードを色濃く反映したアイテムであり、実際コレクション内でも多用されていた。PRADAが好きな人なら一発でシーズンがわかるほどの印象的なアイテムであり、今のトレンドと完全にマッチしている。ミウッチャがどこまで先見の明があったからわからないが、少なくとも12年も前のPRADAのアイテムが、今もっともトレンドに則しているというのはまぎれもない事実である。これだからモードから目を離せないし、これだからアーカイブアイテムは面白い。あなたもタンスの奥に寝かしているラグジュアリーブランドのアイテムを今一度引っ張り出してみて欲しい。それが今一番新しく、今一番着るべきタイミングかもしれないから。
山口 翔太郎/SHOTARO YAMAGUCHI
1987年 京都府生まれ。YOSHI MIYAMASU氏に師事し、11年に独立。スタイリストとしてのキャリアをスタートさせる。『Them Magazine』『TANK Magazine』『FIGARO JAPON』『MilK JAPON』などのファッション誌他、ファッションカタログや広告、セレブリティなど多岐の分野にわたって活躍している。メンズやレディース、キッズからジュエリーまで、ジャンルの垣根を超えた仕事が特徴。現在eight peace所属。
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Direction&Styling_ SHOTARO YAMAGUCHI
Photography_ YUJI FUKUHARA